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子宮頸癌

子宮頸癌は、子宮の先端で腟の中に突出している部分において(子宮頸部)、その最も内側表面に存在する組織(上皮)から発生する癌であり、子宮癌のうち約7割程度を占めます。

発生の初期では、癌はまだ上皮の内部にとどまっていますが(上皮内癌)、病気の進行と共に子宮の筋肉組織に広がったり(浸潤)、腟・膀胱・直腸など子宮の周辺臓器へ広がったり(播種)、血管やリンパ管の流れに乗って肝臓・肺・骨・リンパ管などに広がったり(血行性/リンパ行性転移)します。

初期症状がなく、定期検診での発見が勧められています

癌の発生初期は症状がないことが多く、病変の広がりとともに不正性器出血などの症状を認める場合があります。

よって、不正性器出血を認めたときには、既に癌が進行していることが稀ではないことから、定期的に検診を受けることが勧められています。

国内では、毎年約1万人程度の女性が子宮頸癌となり、そのうちの約3000人が1年間で亡くなられています。2000年以降は、患者数も死亡者数も増加しています。

子宮頸癌の分類と原因

子宮頸癌は、その癌の構成組織によって主に2つに分類されます。

① 扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)

子宮頸癌の中で約75%と最も多いタイプの癌組織です。

その多くにヒトパピローマウイルス(HPV:Human Papilloma virus)の感染が関与していると考えられており、その中でも特に16型や18型のHPVが子宮頸癌に関係すると考えられています。

ヒトパピローマウイルス(HPV)とは?

HPVは、性的接触により女性にも男性にも感染するごくありふれたウイルスであり、女性では子宮頸部に感染します。

性交経験のある女性では約80%が感染するといわれていますが、感染してすぐに癌が発生するのではなく、約90%の人は通常の免疫力によってHPVが排除されます。

しかし、約10%の人は何らかの原因でHPVが排除されなかったり、HPV感染が長期間持続したりすることで、感染した細胞が自然治癒せずに、少しずつ異形成細胞と呼ばれる前癌細胞へと変化していきます。やがて、数年以上をかけて子宮頸癌へと変化していきます。

近年、ヒトパピローマウイルスの1次予防対策として、主に思春期の女性を対象に任意でHPVワクチンの接種が行われています。

② 腺癌(せんがん)

子宮頸癌の約25%を占め、扁平上皮癌よりも癌の進行が早いタイプの癌組織です。

そのメカニズムはまだ明らかになっていませんが、卵巣から分泌される女性ホルモンの1つであるエストロゲンの影響を受けることが分かっています。

実際に、更年期症状の治療で行われるホルモン補充療法によって、そのリスクが上昇したとの報告があり、特にホルモン補充療法を5年以上行った場合にリスクが上昇したとされています。

子宮頸癌の症状

子宮頸癌は、通常、早期にはほとんど自覚症状がありません。
しかし、癌が進行するに従って下記のような症状を特徴的に認めるため、この様な症状がある方は早めの受診をお勧めします。

  • 月経時ではない安静時に不正性器出血を自覚する
  • 性交渉の際に不正性器出血を自覚する
  • 月経血の量が増えた
  • 月経期間が長くなった
  • おりものの臭いが強くなってきた
  • 普段とは異なる透明で粘性のおりものが増えた
  • 下腹部に痛みなどが現れてきた

子宮内膜症の発症年齢

子宮頸癌は40〜50代に最も多い病気ですが、20代や80歳以上の方にも見られます。

特に近年、子宮頸癌検診の普及でその患者数は減少傾向にありましたが、20〜30代の若年者で急速に患者数が増加しているため、現在は増加傾向にあります。

子宮頸癌の診断方法

子宮頸癌の診断は、通常、子宮頸部の細胞診から行います。

子宮頸部細胞診

子宮頸部細胞診とは、子宮頸部から綿棒やブラシなどを用いて細胞を集め、見やすくするために細胞を染色したのち、顕微鏡で観察することによって癌細胞や異形成細胞を見つける方法です。

その診断精度は90〜95%とされ、細胞診で問題ないと診断された場合、1年間は子宮頸癌の発生リスクはないとされています。
よって、出血などの自覚症状がなくても、20歳を過ぎたら2年に1度は子宮頸部細胞診による子宮頸癌検診を受けることをお勧めします。

HPVワクチンを接種した方も、子宮頸癌検診を受けることが勧められています。

なお、性交渉の相手が多い方や、妊娠や出産の回数が多い方、性交渉の開始年齢が低い方は子宮頸癌の発症リスクが高いとされています。

精密検査:腟拡大鏡診、子宮頸部組織診

もし細胞診で、子宮頸癌やその前癌病変である異形成の存在が疑われた場合には、拡大鏡を用いた診察(腟拡大鏡診)や、子宮頸部組織診などが精密検査として行われます。

子宮頸癌と診断されたら、詳細な診断を経て治療方針を決定します

細胞診と組織診で最終的に子宮頸癌と診断された場合には、その病変の広がりを診て治療方針を立てるため、内診、直腸診、超音波検査、血液検査(腫瘍マーカー:SCCやCEA)、CT(主に転移の診断)やMRI(主に浸潤や播種の診断)などの骨盤断層撮影を行います。

さらに、直接的な診断方法として、膀胱鏡や直腸鏡(内視鏡を使った視診)などを行い、詳細に診断していきます。そして最終的に癌の進行期を決定したのち、どの様な治療を行うか決定します。

子宮頸癌の治療方法

子宮頸癌の治療には、主に、手術療法、放射線療法、化学療法の3つの方法があります。

これらの方法を、病変の広がりや症状に合わせて単独に、または組み合わせて治療を行っていきます。

癌の進行期のほか、患者様の年齢や治療後の妊娠希望の有無、ならびに持病の有無などを基に、それぞれの患者様に合った治療方法を、担当医と相談して決めていくことが重要になります。

① 手術療法

早期の子宮頸癌の一般的な治療方法は手術ですが、その病変の広がりによって、手術の内容は変わります。

手術の種類と内容
円錐切除術
一般的に、前癌病変である異形成、ならびに癌の進行がごく初期にとどまっている上皮内癌や微小浸潤癌の場合には、妊娠・出産の希望がある方に対してのみ、子宮を温存する手術療法として円錐切除術を行います。
ただし、手術後のデメリットとして、手術により子宮頸部が短くなって妊娠後に早産となるリスクが高くなったり、子宮の入り口が狭くなって月経血が外に出にくくなり腹痛が生じたり、妊娠しづらくなったりする可能性があります。
レーザー蒸散術
異形成の場合には、レーザーなどで病変部だけを焼く治療方法もあります(レーザー蒸散術)。
単純子宮全摘出術
一方、妊娠・出産の希望がなく、子宮を残す望みもない方には、一般的に単純子宮全摘出術が選択されます。
準広汎性子宮全摘出術、広汎性子宮全摘出術
浸潤癌の場合には、癌が子宮頸部だけに限局しているか、子宮周辺の組織に少し広がっているときのみ、準広汎性子宮全摘出術や広汎性子宮全摘出術が行われます。
術後の更年期様症状の出現を抑えるため、卵巣を温存することもあります。
広汎子宮頸部摘出術
さらに、将来妊娠したいという希望が強い場合には、広汎子宮頸部摘出術を行うこともあります。術後の後遺症として、排尿感覚が鈍くなる排尿障害、卵巣機能消失による更年期様症状、リンパ管の切除によるリンパ浮腫などがあり、長期に持続する場合もあります。
身体への影響が少ない腹腔鏡手術

近年では、身体への影響が少ない腹腔鏡で手術を行うこともあり、保険適応となっています。

手術による傷跡が小さく、術後の負担や入院期間も最小限で済みます。

しかし、現状では許可を受けた限られた施設でしか行われていません。
さらに、2019年に発表された米国の大規模な臨床研究の結果では、腹腔鏡による広汎子宮全摘出術は、再発率が高く生存率が低いとされたため、その実施には、担当医から自院での実績を提示してもらい、内容に関して十分な説明を受ける必要があります。

(子宮の切除方法)
1. 円錐切除術
子宮頸部を円錐状に切除し、診断の確定と追加治療の必要性を判断する方法
2. 単純子宮全摘出術+両側付属器切除術
子宮、卵巣、卵管を切除する方法
3. 準広汎性子宮全摘出術+両側付属器切除術
子宮、卵巣、卵管、および子宮を支える靭帯(基靭帯)の一部を切除する方法
4. 広汎子宮全摘出術
子宮、卵巣、卵管、腟の一部、および子宮周囲の組織を含めた広い範囲を切除する方法
5. 広汎子宮頸部摘出術
子宮頸部とその周辺の組織を含めた広い範囲を切除することで、治療と同時に将来的な妊娠の可能性を残す方法
(リンパ節の切除方法)
1. 骨盤リンパ節廓清術
子宮頸癌に関係し後腹膜に存在する骨盤リンパ節を切除する方法
2. 骨盤リンパ節廓清術+傍大動脈リンパ節廓清術
骨盤リンパ節のほか腹部大動脈の周囲にあるリンパ節も切除する方法

② 放射線療法

術後に再発のリスクが高いと判断される場合や、癌が遠方の臓器へ播種したり転移したりして手術が行われなかった場合、ならびに子宮頸癌が再発した場合などに放射線療法が行われます。

高エネルギーのX線を照射することで、癌細胞に傷害を与えて癌組織を減少させたり増殖を抑えたりすることを目的としています。

体外からX線を照射する外照射と、腟を介して子宮内にX線を照射する内照射の二つを組み合わせて行う場合が多いです。

単独のほか、化学療法と組み合わせた同時化学放射線療法を行うこともあります。一方、放射線療法の副作用には、皮膚炎、胃腸障害、下痢、腸閉塞などがあり、治療を要することもあります。

1. 外照射

直線加速器(リニアック)と呼ばれる大型の機械で、身体の外から体内の癌に放射線を照射する方法です。1日1回の治療を5〜6週間かけて行います。身体の深部に存在する癌に放射線を集中的に当てることと、放射線による正常臓器への影響を最小限にするため、多方向から一度に放射線を癌に向けて照射します。

2. 腔内照射

子宮の内部に放射線治療用の器具を挿入して、子宮の中から放射線治療を行う方法です。子宮の内部とその周囲に限局して多くの放射線を照射することができます。週1回の治療を2〜4回程度行います。

③ 化学療法

放射線療法と同様に、術後に再発のリスクが高いと判断される場合や、癌が遠方の臓器へ播種したり転移したりして手術が行われなかった場合、ならびに子宮頸癌が再発した場合などに化学療法が行われます。

抗癌剤を用いることで、主に、体内に存在する癌細胞を減少させたり増殖を抑えたりすることを目的としています。

抗癌剤は、主にシスプラチンとパクリタキセルが用いられますが、さらに別の抗癌剤を併用したり、最近では癌に栄養を送ってしまう血管の発育を抑制する分子標的治療薬なども用いられるようになって来ました。

抗癌剤の投与は、通常では点滴から行いますが、経口剤や筋肉注射剤として投与することもあります。

また化学療法は、手術後の補助療法や、子宮頸癌が播種や転移している場合にも行います。

一方、化学療法の副作用には、悪心や嘔吐のほか、血液毒性(好中球減少、貧血、血小板減少)や腎機能障害などがあります。

定期検診を受けて、早期発見・早期治療を心がけましょう

子宮頸癌は、早期のうちに診断され治療が開始されれば、その治癒率も高く、子宮を残すことができる可能性も十分にあります。

しかし、一旦進行してしまうと、その再発率や死亡率は高くなってしまいます。
よって、HPVワクチンで癌の発生を予防したり、子宮頸癌検診を受けたりすることで、早期発見と早期治療に結びつけていくことがとても重要になります。

上記のような症状がある場合や、ワクチンや検診に関して質問がある場合には、なるべく早めに受診されることをお勧めします。

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