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卵巣癌

卵巣癌は、子宮の両脇に存在する卵巣から発生するとされる癌です。

卵巣癌は、その発生する内部組織の場所によって、上皮性、胚細胞性、性索間質性などの種類がありますが、90%以上は上皮性の癌です。また、境界悪性腫瘍と呼ばれ、卵巣癌よりも進行が遅く、悪性度も比較的低いものも存在します。

発生の初期では、癌はまだ卵巣内にとどまっていますが、病気の進行と共に子宮や卵管など周囲の組織に広がったり(浸潤)、破裂して癌細胞が散らばり大腸や膀胱など腹部の臓器に広がったり(播種)、血管やリンパ管の流れに乗って肝臓・肺・骨・リンパ管などに広がったり(血行性/リンパ行性転移)します。

近年、その患者数は増加傾向にあり、婦人科に関する癌の中では最も死亡者数の多い癌とされていて、約40~50%が予後不良とされています。

卵巣癌の原因とリスク因子

卵巣癌は、複数の要因が関与して発生すると考えられています。

その中でも約5~10%の方は、遺伝的要素が関与していると考えられています。近親者で卵巣癌にかかった人がいる場合は、いない場合と比較して、発症の確率が高いとされています。

なかでも、乳癌の原因遺伝子の1つであるBRCA1とBRCA2の異常は、家族性腫瘍として卵巣癌の発生率が高いことが分かっています。

その他、家系内にリンチ症候群と呼ばれ、複数の遺伝性腫瘍の発生を認める人もリスクが高いとされています。反対に、経口避妊薬の使用は、大腸癌のほか、卵巣癌のリスクを低下させます。

一方、近年では、進行した卵巣癌と診断されたものが、実は卵管由来の癌(卵管癌)であった可能性が指摘されています。

リスク保因者

  • 妊娠や出産経験の少ない方
  • 多嚢胞性卵巣症候群の方
  • 子宮内膜症性嚢胞(=チョコレート嚢胞)方
  • ホルモン補充療法を10年以上行っている方
  • 家系に乳癌・子宮体癌・卵巣癌・大腸癌・胃癌・小腸癌・胆道癌・腎盂/尿道癌の人がいる方

卵巣癌の症状

卵巣癌は、通常、発生初期では自覚症状に乏しいことが少なくありません。

症状が現れることもありますが、卵巣癌に特徴的な症状はなく、症状を認めたときには既に癌が進行している場合も少なくありません。よって、下記のような症状があれば早めの受診をお勧めします。

  • 下腹部にしこりを触れる
  • 下腹部に圧迫感を感じる
  • 乳が近くなったり頻繁に便秘になったりする

また、大きくなる前に他の臓器に広がっていくことも多く、お腹に癌が広がることで腹部全体に水が溜まりお腹が張ったり、胸にまで癌が広がることで胸に水が溜まり息切れや呼吸が苦しくなったりすることで、初めて異常に気づくことも少なくありません。

この様に卵巣癌は、自覚症状に乏しく受診が遅れがちになり、発生したら急激に進行していくため、未だ早期に発見できる有効な手段がありません。

よって、腹部の違和感があったら早めに産婦人科を受診したり、毎年定期的に婦人科検診を受けて異常がないか確認したりすることが、とても重要になります。

卵巣癌の発症年齢

卵巣癌は、40代から多くなり、50代から60代の閉経前後で最も多くなります。死亡率は、50代から増加して高齢になるほど高くなっていきます。

卵巣癌の診断方法

通常、卵巣は直径約2~3cmほどの大きさです。

しかし、超音波検査を行った際に、その大きさが大きい、内部に液体が溜まっている、内部に異物のようなものがある、内部が袋状にいくつも分かれている、などの異常を認めた場合には、良性の卵巣腫瘍か卵巣癌の可能性があるため、追加の検査が必要となります。

検査方法

内診、直腸診、超音波検査、血液検査(腫瘍マーカー:CA125やCA19-9)、CT(主に転移の診断)やMRI(主に浸潤や播種の診断)などの骨盤断層撮影が主に行われます。

卵巣癌は、良性の卵巣腫瘍との鑑別が難しく、手術して摘出したのち顕微鏡による病理検査を行うことで、最終的に診断が確定されます。

一般的には、直径が5~6cmを超える場合で手術適応になります。

卵巣癌の治療方法

卵巣癌の治療は、可能な限り手術を最初に行い、正確な癌の広がりを決定します。

その上で追加治療が必要な場合には、化学療法や放射線療法など、それぞれの患者様に合った治療方法を、担当医と相談して決めていくことになります。

① 手術療法

卵巣癌を取り除くと同時に、その広がりを正確に診断して、追加療法として化学療法や放射線療法を行う必要があるのか、判断するために行われます。

お腹の中に存在する癌組織を可能な限り取り除くことを目標としますが、診断結果から予想される病変の広がりや、年齢、症状などによって手術の内容は異なってきます。

妊娠・出産の希望がある方で、手術前に片側卵巣の境界悪性腫瘍と判断される場合には、病側の卵巣と卵管の切除だけを切除します。

しかし、術後の病理診断で卵巣癌であることが判明した場合には、子宮に加えて、残った卵巣と卵管、ならびにリンパ節の切除が行われます。

一方、妊娠・出産希望のない方や、卵巣癌が強く疑われる方、卵巣癌で他の臓器への広がりが強く疑われる方には、子宮、卵管、子宮、大網、リンパ節などを切除します。さらに、癌の広がりによっては腸管や脾臓なども追加切除する場合があります。

また、化学療法などの追加治療を行った後に、その治療効果判定を目的として、再び手術を行ってお腹の中を確認することもあります。

術後の後遺症として、排尿感覚が鈍くなる排尿障害、卵巣機能消失による更年期様症状、リンパ管の切除によるリンパ浮腫などがあり、長期に持続する場合もあります。

手術方法
  • 1. 単純子宮全摘術:子宮のみを切除する。
  • 2. 単純子宮全摘出術+両側付属器切除術:子宮、卵巣、卵管を切除する。
  • 3. 骨盤リンパ節廓清術:子宮体癌に関係し後腹膜に存在する骨盤リンパ節を切除する。
  • 4. 骨盤リンパ節廓清術+傍大動脈リンパ節廓清術:骨盤リンパ節のほか腹部大動脈の周囲にあるリンパ節も切除する。
  • 5. 大網切除術:胃に付着して小腸や大腸などの腸管を覆っている大きな膜状の脂肪組織。卵巣癌が播種しやすい組織であり、胃の付着部位から可能な限り切除する。
  • 6. 腸管など多臓器の切除:お腹の中の癌組織を可能な限り切除するため、腸管や脾臓なども追加切除する場合があります。

② 放射線療法

術後の追加治療として、通常は化学療法が行われます。

しかし、脳や骨など抗癌剤が届きにくい臓器に対しては、その転移による症状を緩和するために、局所的に行われることがあります。

一般的には、直線加速器(リニアック)と呼ばれる大型の機械で、身体の外から体内の癌に放射線を照射する外照射という方法が行われます。

1日1回の治療を5〜6週間かけて行います。身体の深部に存在する癌に放射線を集中的に当てることと、放射線による正常臓器への影響を最小限にするため、多方向から一度に放射線を癌に向けて照射します。

放射線療法の副作用には、皮膚炎、胃腸障害、下痢、腸閉塞などがあり、治療を要することもあります。

③ 化学療法

術後の診断で、再発するリスクのある場合や、癌が卵巣の外に広がっている場合に行われます。

また、癌が異所性に再発した場合や、年齢や合併症によって手術療法が不可能な場合、癌が遠方の臓器へ播種したり転移したりして手術が行われなかった場合などに、化学療法が行われます。

抗癌剤を用いることで、主に、体内に存在する癌細胞を減少させたり増殖を抑えたりすることを目的としています。卵巣癌は、抗癌剤が比較的よく効く癌です。

抗癌剤は、主にカルボプラチンとパクリタキセル、ならびにシスプラチンとイリノテカンが用いられますが、さらに別の抗癌剤を併用したり、最近では癌を栄養する血管の発育を抑制する分子標的治療薬なども用いられたりして来ました。

抗癌剤の投与は、通常では点滴から行いますが、お腹の中に管を置き、そこから抗癌剤を注入する場合もあります。一方、化学療法の副作用には、悪心や嘔吐のほか、血液毒性(好中球減少、貧血、血小板減少)や腎機能障害などがあります。

少しでも不調があれば、医療機関を受診しましょう

卵巣は、お腹の深部に存在している小さな臓器であり、多少大きくなっただけでは症状に乏しく、大きくなっても痛みが出づらいため、自覚症状があっても医療機関を受診しない方が多いです。

「最近になって体重が増えてきた。」くらいでも卵巣癌の場合があるため、出血、頻尿、便秘、下腹部痛などの異常も同時に認めたら、なるべく早めに受診して検査を受けることをお勧めします。

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