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子宮体癌

子宮体癌は、内膜、筋層、漿膜と子宮体部が3つの層からできているなかで、内膜から発生するもので、子宮内膜癌とも呼ばれています。

発生の初期では、癌はまだ内膜にとどまっていますが、病気の進行と共に子宮の筋肉組織に広がったり(浸潤)、子宮頸部・腟・膀胱・直腸など子宮の周辺臓器へ広がったり(播種)、血管やリンパ管の流れに乗って肝臓・肺・骨・リンパ管などに広がったり(血行性/リンパ行性転移)します。

特にこの20年間で約4倍近くまで増えており、婦人科に関する癌の中では最も患者数の多い癌となっています。

その原因は、近年の日本における晩婚化と高齢妊娠の影響により妊娠回数が減少していることや、食生活の欧米化、高カロリー・高脂肪食の増加による肥満の増加、肥満によるホルモンバランスの乱れ、などが主な原因と考えられています。

最もよく認める症状は腟からの出血であり、出血を認めたときには、子宮体癌の検査を受けることが勧められています。

子宮体癌の原因とリスク因子

子宮体癌は、卵巣から分泌される女性ホルモンの1つであるエストロゲンが、子宮内膜を長期間刺激することで発生すると考えられています。

よって、エストロゲンの分泌が比較的長く続いている方で、発症リスクが高いことが分かっています。
そのため、ホルモン補充療法でエストロゲン製剤を使用している方や、乳癌治療でホルモン療法を行っている方はリスクが高いとされています。

また、エストロゲンはコレステロールから生成されるため、肥満傾向の方にも好発すると考えられています。

その他、家系内にリンチ症候群と呼ばれる複数の遺伝性腫瘍の発生を認める人もリスクが高いとされています。

リスク保因者

  • 肥満体質の方
  • 糖尿病や高血圧の方
  • 妊娠や出産経験のない方
  • 月経不順やホルモン異常のある方
  • 無排卵周期症や多嚢胞性卵巣症候群を指摘された方
  • ホルモン補充療法でエストロゲン製剤を使用している方
  • 乳癌治療でタモキシフェンなどのホルモン療法を行っている方
  • 家系に乳癌・子宮体癌・卵巣癌・大腸癌・胃癌・小腸癌・胆道癌・腎盂/尿道癌の人がいる方

子宮体癌の症状

子宮体癌は、通常、殆どの場合に月経とは異なる性器出血(=不正性器出血)や、水のようなおりもの(=水溶性帯下)といった初発症状を認めます。

出血が少量の場合は、赤褐色から黄色の帯下となり、急激な細胞の増殖によって癌細胞が子宮の中で破壊されると、子宮内で感染を起こして膿性の帯下となります。

また、癌が子宮を超えてお腹の中で広がっていくと、下腹部痛などの症状も出現します。下記に示したような症状がある方は、早めの受診をお勧めします。

  • 月経時ではない安静時に不正性器出血が生じる
  • 赤褐色や黄色の帯下を頻繁に認める
  • おりものの臭いが強くなってきた
  • 普段とは異なる透明で粘性のおりものが増えた
  • 下腹部に痛みなどが現れてきた

子宮体癌の発症年齢

子宮体癌は、40代から多くなり、50代から60代の閉経前後で最も多い病気です。特に閉経後で不正性器出血を認めた場合には、産婦人科への早めの受診をお勧めします。

子宮体癌の診断方法

子宮体癌の診断は、通常、子宮内膜の細胞診から行います。

子宮内膜細胞診

子宮内膜細胞診とは、細いチューブやブラシなどを用いて子宮内膜の細胞を集め、見やすくするために細胞を染色したのち、顕微鏡で観察することによって正常な細胞か診断する方法です。

人によって異なりますが、内臓である子宮の内部をこするため、痛みを感じる場合があります。

その診断精度は70〜75%とされ、子宮頸癌の診断方法である子宮頸部細胞診の様には高くはありません。よって、1年以内に問題なしとされた場合でも、不正性器出血などの症状を認めたら、再び細胞診を受けた方が良いとされています。

もし細胞診で、子宮体癌やその前癌病変である異型内膜増殖症の存在が疑われた場合には、子宮鏡を用いた診察(子宮鏡検査)や、子宮内膜組織診などが精密検査として行われます。

子宮鏡検査

子宮鏡検査は、直径3mm程度の細い内視鏡を、腟から子宮体部に挿入して観察する検査で、癌の位置、形状、広がりを直接確認できます。

前述の組織診も同時に行われる場合が多く、痛みを感じることは殆どありません。

細胞診と組織診で最終的に子宮体癌と診断された場合には、その病変の広がりによって治療方針を立てるため、内診、直腸診、超音波検査、血液検査(腫瘍マーカー:CA125やCA19-9)、CT(主に転移の診断)やMRI(主に浸潤や播種の診断)などの骨盤断層撮影を行います。

さらに、直接的な診断方法として、膀胱鏡や直腸鏡(内視鏡を使った視診)などを行い、詳細に診断していきます。そして最終的に癌の進行期を決定したのち、どの様な治療を行うか決定します。

子宮体癌の治療方法

子宮体癌の治療には、主に、手術療法、放射線療法、化学療法、ホルモン療法の4つの方法があります。

これらの方法を、病変の広がりや症状に合わせて単独に、または組み合わせて治療を行っていきます。

癌の進行期のほか、患者様の年齢や治療後の妊娠希望の有無、ならびに持病の有無などを基に、それぞれの患者様に合った治療方法を、担当医と相談して決めていくことが重要になります。

① 手術療法

子宮体癌の拡大を取り除くと同時に、その広がりを正確に診断して、追加療法として放射線療法や化学療法を行う必要があるのかを判断するために行われます。

また、診断結果から予想される病変の広がりによって、手術の内容は変わります。

前癌病変である異型内膜増殖症や、子宮内膜だけに癌を認めるごく初期の高分化型子宮体癌で、妊娠・出産の希望がない方や、子宮を残す望みもない方には、一般的に単純子宮全摘出術が選択されます。

両側の卵巣と卵管の切除は、年齢や癌の種類などを考慮して実施されます。

浸潤癌の場合には、癌が子宮体部だけに限局しているのか、子宮周辺の組織に広がっているのかを判断するため、診断結果から予想される病期分類に従って、準広汎性子宮全摘出術や広汎性子宮全摘出術が行われます。

両側の卵巣と卵管の切除や、リンパ節の切除も同時に行われます。術後の後遺症として、排尿感覚が鈍くなる排尿障害、卵巣機能消失による更年期様症状、リンパ管の切除によるリンパ浮腫などがあり、長期に持続する場合もあります。

近年では、身体への影響が少ない腹腔鏡で手術を行うこともあり、保険適応となっています。手術による傷跡が小さく、術後の負担や入院期間も最小限で済みます。しかし、現状では許可を受けた限られた施設でしか行われていません。

(子宮の切除方法)
  • 単純子宮全摘術:子宮のみを切除する方法
  • 単純子宮全摘出術+両側付属器切除術:子宮、卵巣、卵管を切除する方法
  • 準広汎性子宮全摘出術+両側付属器切除術:子宮、卵巣、卵管、および子宮を支える靭帯(基靭帯)の一部を切除する方法
  • 広汎子宮全摘出術:子宮、卵巣、卵管、腟の一部、および子宮周囲の組織を含めた広い範囲を切除する方法
(リンパ節の切除方法)
  • 骨盤リンパ節廓清術:子宮体癌に関係し後腹膜に存在する骨盤リンパ節を切除する方法
  • 骨盤リンパ節廓清術+傍大動脈リンパ節廓清術:骨盤リンパ節のほか腹部大動脈の周囲にあるリンパ節も切除する方法

② 放射線療法

子宮体癌に関して通常は手術療法が行われます。

しかし、術後の腟断端から再発した場合や、年齢や合併症によって手術療法が不可能な場合、癌が遠方の臓器へ播種したり転移したりして手術が行われなかった場合などには、放射線療法が行われます。

高エネルギーのX線を照射することで、癌細胞に傷害を与えて癌組織を減少させたり増殖を抑えたりすることを目的としています。体外からX線を照射する外照射と、腟を介して子宮内にX線を照射する内照射の二つを組み合わせて行う場合が多いです。

単独のほか、化学療法と組み合わせた同時化学放射線療法を行うこともあります。一方、放射線療法の副作用には、皮膚炎、胃腸障害、下痢、腸閉塞などがあり、治療を要することもあります。

1. 外照射:

直線加速器(リニアック)と呼ばれる大型の機械で、身体の外から体内の癌に放射線を照射する方法です。

1日1回の治療を5〜6週間かけて行います。身体の深部に存在する癌に放射線を集中的に当てることと、放射線による正常臓器への影響を最小限にするため、多方向から一度に放射線を癌に向けて照射します。

2. 腔内照射

子宮の内部に放射線治療用の器具を挿入して、子宮の中から放射線治療を行う方法です。

子宮の内部とその周囲に限局して多くの放射線を照射することができます。週1回の治療を2〜4回程度行います。

③ 化学療法

術後の診断で、再発するリスクのある場合や、癌が子宮の外に広がっている場合に行われます。

一般的には、予後不良因子を有するもの(分化度G3、筋層浸潤1/2以上、頸部浸潤、リンパ節転移、卵巣/卵管転移など)とされています。

また、放射線療法と同様に、癌が異所性に再発した場合や、年齢や合併症によって手術療法が不可能な場合、癌が遠方の臓器へ播種したり転移したりして手術が行われなかった場合などに、化学療法が行われます。

抗癌剤を用いることで、主に、体内に存在する癌細胞を減少させたり増殖を抑えたりすることを目的としています。抗癌剤は、主にカルボプラチンとパクリタキセルが用いられますが、さらに別の抗癌剤を併用したり、最近では癌を栄養する血管の発育を抑制する分子標的治療薬なども用いられたりして来ました。

抗癌剤の投与は、通常では点滴から行いますが、経口剤や筋肉注射剤として投与することもあります。

一方、化学療法の副作用には、悪心や嘔吐のほか、血液毒性(好中球減少、貧血、血小板減少)や腎機能障害などがあります。

④ ホルモン療法

一般的に、前癌病変である異型内膜増殖症や、癌の進行がごく初期にとどまっている高分化型子宮体癌で、妊娠・出産の希望がある方に対してのみ、高容量の黄体ホルモン(MPA)を内服投与するものです。

この高容量MPA療法を行う際には、子宮内膜を全て取り除く処置(子宮内膜全面掻破)を、入院して静脈麻酔下で行なったのち、毎月の外来で超音波検査、子宮内膜細胞診、子宮内膜組織診などを行い、その治療効果を検討しながら行います。

しかし、2年以内に子宮内で再発する頻度も高いため、慎重な経過観察を必要とされます。そのため、治療終了後は早期の妊娠を目指すため、積極的に不妊治療を受けることが勧められます。

一方、すぐの妊娠を希望されない方は、定期的にMPAを内服して化学的な内膜掻爬を行うことで、再発防止を図ることがあります。

定期的な検診により、早期発見・早期治療につながります

子宮体癌は、比較的早期の段階で、不正性器出血などの症状が出ることが多いとされています。

早期のうちに診断され治療が開始されれば、その治癒率も高く、根治できる可能性も十分にあります。しかし、一旦進行してしまうと、その再発率や死亡率は高くなってしまいます。

よって、定期的な婦人科検診を受けることで、早期発見と早期治療に結びつけていくことがとても重要になります。上記のような症状がある場合や、検診に関して質問がある場合には、なるべく早めに受診されることをお勧めします。

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